夏休み
ミニアルバム『夢を追うのが夢だった』
曲について 7
『夏休み』
アルバムの中で一番最後に作った曲です。
アンケートの気に入った曲などでは上がってこないのですが、自分では結構お気に入りの、愛着のある曲です。
サビのメロディーだけ何年も前からできていて、夏休みをテーマにした、ちょっと懐かしい曲にしたいと思っていました。
曲作りについて少し勉強したとき、それを意識してこの曲を形にしてみようと思い、時間をかけて何度も練り直しながら作りました。
イントロ、間奏、出だしのギターのストロークは、自分で考えたものをそのまま使ってもらっています。
サビ以外のメロディーは、考えて考えてひねり出した感じでした。
思いついては録音。もう一度録音すると前と違うから、どっちがいいか比べて、いいほうを残して。次に録ってみるとまた違うから、また比べて…という感じ。
せみしぐれやMilky Wayのように自然に出てきた曲ではないので、自分で作っておきながら、ちゃんとメロディーを覚えるまでに2週間くらいかかりました。
歌詞にも時間がかかりました。
まず、夏休みの何をテーマにしたいのかが決まっていなかったので、主人公は何歳くらいのどんな状況の人で、夏休みをどう振り返るのかを決めることからです。
最初の窓を開けるシーン。これは娘が住んでいる東京のアパートを想像しながら書きました。そうすると「主人公は20代くらい、独身。都会で、季節が変わったことにも気づけないほど忙しい仕事をしている」という設定ができてきました。
「あ、今夏休みだったんだ。」と気づくところから、子どもの頃の夏休みを振り返り、どんなに忙しくても、夏休みを楽しみにしていたときのワクワクする気持ちをなくしてはいけないな、という曲にしよう!と決まりました。
夏休みのどんなシーンを振り返るかですが、夏休みをテーマにした曲はたくさんあって、かぶらないように気をつけたつもりです。「セミの抜け殻」飾ってた人なんていなかったかな^^;
夏休みにしか会えなかった「いとこ」たちを歌詞に入れてみたのも、自分ではいい思いつきだったと思っています。
少し韻を踏んでみようなんてことも考えましたが、あまりこだわると使いたい言葉が入れられなくなるので、かなり妥協してしまいました。
「20代、都会生活」なんて、実感できるの?と思われるかもしれませんが、「一人暮らしで、季節が変わったのもわからないほど忙しい」というのはその時の生活そのものだったので、自分の気持ちそのままでした。
一番時間をかけた分、手のかかるわが子がなんとか大人になってくれた、みたいな曲です。
なによりも、その産みの苦しみを味わっていたのは11月から12月。寒い部屋で震えながら、夏の情景を思い浮かべて詞や曲を作っていたことが忘れられません。